最近知り合った友人にこんな人がいた。彼女は、高校生の時から同じメーカーの同じ品名の同じサイズの靴を履き続けているという。たぶん、色も同じのはずだ。
その時もちょうど旅先で、そろそろ靴が壊れてきたから買い換えたいといって、たまたまそこにあったイオンのショッピングモールでその靴を買っていた。四千いくらでだいたいどこでも買えるという。
ずっと履き続けている靴だから、どれぐらいで壊れるのか、どういう症状が出てくるのか、どんなところで売っているのか、知り尽くしている。
特別に高級なわけでもなく、特別なデザインでもなく、よく見かける茶色い革靴。
それが彼女にとっては、靴の「正解」で、「もうこれでいいもの」「もっといいものがあるかもと探し続ける必要の無いもの」なのだ。彼女はもう、靴について思い悩むことはないんだと思った。僕にはそれがとてもうらやましかった。