東京の駒場東大前駅から歩いて10分ほどのところ、住宅が並ぶなかに日本民藝館があった。
まずその建物自体がここちよかった。しっかりとした木でできた柱や床。それに厚みのある硝子が使われた窓。椅子に座ってひと息ついた。
展示されている器や服や絵などは、こんなん家で使ってみたい、飾りたいと思うようなものがたくさんあった。道具は新品ではなく過去に使用されていたものが多く、陶器は貫入がしっかり入っていたり、中には欠けたために金継ぎを施したものもあった。
2時間ほど見学して民藝館を後にした。民芸品というものが身近になったなと感じた。いくら民芸品と言われようとも、展示されている何か高尚なものと自分が普段使っているものとは別物という意識があった。そういう意識が薄くなっているのを感じた。
展示されているものが何かすごいものに見えてしまうのは何らかの基準で選ばれているからなのかなと思った。思えばこの半年ほどで家にあるものを相当減らした。そして普段使っているものが、自分たちの日常にふさわしい選ばれたモノだと思うようになったのかもしれない。選定したということが、展示品と自分の家で使っている道具の垣根を少し壊した気がする。