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ていれとつくろい、終了しました。
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#16 『森の生活』を街で


ヘンリー・デイビット・ソローの『森の生活』は1年ほど前に読んで好きになった本だ。ソローがアメリカ北東部にあるウォールデン湖の近くに小屋を建てて暮らしたことを書いている。森の生活といっても森の奥深くで誰にも会わずに生活しているわけではなく、近くの街に住む人達と交流を持ちながら暮らしている。

最初の章「経済」で、30マイル(約48キロ)離れたピッツバーグという場所にソローならば歩いて出かけていくと書いている。運賃は90セント(当時の坑夫の日給は60セント)だ。歩いて行くと1日かかるがもちろん交通費はかからない。ソローは、仕事を探し何日か働いてその汽車の券を買うよりも、時間はかかるがそこに歩いて行く方を選ぶと言う。
汽車で行けば1日時間が空くかもしれない。でも、その汽車のチケットを買うために何日働いたのだろうか。そのように考えるだけでも、汽車で行けばお金はかかるが時間があいて他のことができるというのはおかしな話になってくる。

こういうようなことは街の日常生活でもいっぱい発見できると思った。おいしいものを食べたいときにお店に食べに行くのではなく、良い材料をそろえ調理の仕方を調べ自分で料理するとか、なにか物が欲しくなったときに買いに行くのではなく、それを持っているけれど使わなくなった人を探してもらってくるとか。払うお金の額は減るけれど、ちょっとめんどくさいことは増える。

「森の生活」なんて題名がついているけれど、ソローの言っていることの中には街でできることもいくらかあるはずだ。少しでもソローの真似をしてみると、静かな朝も誰とも話すことのない一日も手に入れることができるかもしれない。
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