おひつはちょっと扱うのが怖かった。中学生か高校生のときに母がおひつを買ってきて使っていたが、しばらくして壊してしまったのを思い出すからだ。無残にばらばらになってしまったおひつが台所にしばらく放置してあった。見るたびに気が滅入る。手入れを私がしていたわけではないので、なにが悪かったのか正確なことはわからない。ばらばらになっていたということは、最終的には木が縮んでタガが外れてしまったんだろう。
おひつを使おうと決めて、簡単に使い方を調べることにした。「最初は湿らせてから使う」「毎回きちんと乾燥させる」など幾つかの大事な事がすぐにわかる。湿らせる理由はご飯がおひつにくっつきにくくするように。これは数回使うとしなくてよくなる。乾かすのは次に使うときにもしっかりご飯の水分を吸収するように。タガは緩むものでひっくり返して叩くなどして自分である程度は治せるということもわかった。これで安心して使える。
そう思って使っていたが、しばらく経って新たにご飯を一昼夜以上おひつに入れっぱなしではいけないということを知った。湿りっぱなしではカビや腐食の原因となるらしい。もしかしたら、見逃しているポイントがまだあるのかもしれない。